後悔しない古民家リノベーション!素朴な疑問を解決

自然素材を使った古民家の梁を紹介する男性
目次

1.はじめに

古民家リノベーションの魅力とトレンド

古民家・旧家の建築は、無垢材や自然素材を多く使用しており、現代の建物にはない温かみや風格を持っています。近年、あえて古い日本家屋を購入し、自分好みに改装したりリフォームする方からのご相談も増えています。

古民家の改築は魅力的である反面、費用面や耐震性・快適性なども気にかかりますよね。
後悔しない古民家・旧家のリノベーション・リフォームと工務店や大工職人の選び方のポイント、素朴な疑問など創業100年の工務店4代目である一級建築士がご紹介します。

工務店4代目である一級建築士

2.古民家リノベーションの魅力

歴史と伝統の温もり

古民家とは、建築後50年以上が経過した日本家屋のことを呼ぶことが多いですが、明確な定義はありません。

古民家や旧家には、その土地の文化や生活様式を感じ、心を和ませる温もりがあります。伝統的な建築技術が随所に見られ、現代の建築にはない独特の風情がありますね。
また職人の手仕事による細かな彫刻や建具の美しさは、現代の大量生産にはない魅力があります。

事例:できるだけ古いものを残し、新しい無垢材と調和させる。

天井や欄間など、昔からのものは色合いや重みが違います。
最近作ったようなものではなく、古民家は50年間の時間を耐えた「色合い」というか「風合い」は、金額にならない価値ですね。

自然素材を使った古民家

自然素材の温かみ

地場の木材や土、石など、自然素材を多用している古民家は、天然の温かみと質感があり、居心地の良い空間が生まれます。

先代から引き継いだ歴史ある住まいに新しい息吹を与え、継承する。時を重ねるごとに風合いや艶を増し、より美しくなる自然素材。柱や梁など活かせるものは残し、新たな住みやすい空間を生み出していきます。

自然素材を多く使用している古民家・旧家を改築して住むことは、環境への負荷が少ないエコフレンドリーな選択です。

こちらのお宅では、梁に「地松(じまつ)」を使っていました。地松は、粘りがあり、強度や耐久性に優れているので、梁には最適です。また経年変化と共に、素晴らしい色艶を出すのが魅力ですね。

自然素材を使った古民家の梁を紹介する男性

「この梁は、親父が自分の山で松の木を切って製材所へ持って行きました。この家は、ほとんど親父が山から切ってきた木材を使っているのですよ。(築55年の家をリフォーム)」

3.リノベーション前に知っておくと安心なこと

古民家を購入してリノベーション・リフォームする際には、事前にいくつかのチェックポイントを確認することが大切です。これにより、後から発生する可能性のある問題を未然に防ぎ、後悔のないスムーズなリフォーム・リノベーションを進めることができます。
また古民家や中古物件の多くは設計図がないことが多くあります。そのため大工さんのいる工務店に依頼することをおすすめします。

リフォーム前の物件確認

チェックポイント1:構造の状態
  • 石場建てに沈みがないか、基礎にひび割れがないか
  • 木材が腐っていないか、シロアリ被害がないか など

構造材の劣化は修復に大きなコストがかかる可能性があります。また、足元がしっかりしていないと、建物全体の安定性に影響を与えます。

チェックポイント2:屋根や外壁・内装の状態

屋根の雨漏りチェックや外壁・内装の劣化など、崩壊の危険もあるので、専門家による診断(インスペクション)を受けることをお勧めします。▶インスペクションについて

コラム:古民家の耐震性について

「古民家の耐震性」を気にされる方も多いと思います。古民家の工法は「伝統構法」と呼ばれ、現代の「在来工法」とは異なった工法で建てられており、古民家の造りは建築学校でも習わず、現場でも誰も知らないというのが現状です。

100年の歴史をもつ後藤工務店では、先々代、先代からこの「伝統構法」の技術と智慧を継承してきました。古い神社仏閣が何百年の歳月に耐えているのはなぜなのか?その修繕を請け負えるのも、この経験の積み重ねがあるからです。

大規模な耐震補強には大金がかかります。私たちは、施主様と相談しながら、古民家の良さがなくならないようにご予算やお好みに合わせて、安全性を確認しながらご提案をさせていただいております。

チェックポイント3:リフォームの可能性

自分が希望するリフォームが実現可能かどうか、専門家と相談して確認します。構造上の制約や法規制により、希望通りのリフォームができない場合があります。

リフォームにかかる費用相場と予算内におさえるポイント

古民家リフォーム・リノベーションの費用相場ですが、幅が広く、一概にいくらと言うのが難しいです。状態の良い物件であれば、500万円~700万円でリフォームできる可能性もあるでしょう。

壁の補強、水回りや内装の交換、耐震性・断熱性の向上、間取りの変更などをしたい場合、1,000~2,000万円以上の工事内容であれば概ね満足できる住まいを作りやすくなります。

予算が潤沢にあれば、いくらでも満足できるものができると思うのですが、なかなかそうはいかないのが世の常。
おすすめなのは、予算を決めて、手を加えたい部分に優先順位を付ける方法です。リフォームの希望リストを作成すると、予算内でどこまでできるか?がより明確になりますので、おすすめです‼

リフォームチェックリスト活用例(神戸市北区H様邸)

リフォームしたいリストを作り、全部で9か所くらいになりましたが、最初の見積もりで予算オーバーだったら、削っていこうと話をしていました。

専務が持ってきた見積もりを見たら、『結構安いな。それならリストのほとんどができそう』とお願いしました。最終金額を決めていたのですが、リストを削らなくてもいいぐらいに収まり立派なものができたと思っています。

だから欲が出て、「風呂もやろう」「玄関もやろう」となりました。

リスト・優先順位がお客様と共有できることで、より具体的に費用提示ができ、リフォームの段取りが明確化してきます。「これと、これは同じ素材で対応するので、今回のリフォームで対応した方が安くなる」「この2つは似た作業なので、一緒にできる」など、素人では判断しにくいことが情報を共有いただくことで、理解が深まります。

こちらが築50年のご自宅をリフォームさせていただいた写真です。詳細事例はこちら

築55年の家をリノベーション
築55年の家をリノベーション
築55年の家をリノベーション
リフォーム後のお風呂

補助金を上手に活用しよう

古民家のリフォーム・リノベーションに利用できる補助金・減税制度はお住まいの地域により様々です。工務店やリフォーム会社に聞いてみることをお勧めします。また、所得税の控除や省エネ改修に係る固定資産税の減額措置、住宅ローン減税などの制度もありますが毎年改定されるものも多くあります。補助金申請を行っている業者かどうかを確認してご相談するのが確実です。

条件によっては、複数の補助金制度を活用できる場合もあります。下記のリフォーム事例では「先進的窓リノベ事業」「こどもエコすまい支援事業」「給湯省エネ事業」の3つの補助金を活用しました。

補助金活用事例(神崎郡市川町)

事前にご相談いただくと、より具体的に地域の補助金・減税制度を生かしたリフォームのご提案ができます。

◯ 先進的窓リノベ事業

先進的な断熱性能を持つ窓に交換する際、リフォーム費用の補助を受けられる制度です。

◯ こどもエコすまい支援事業

子育て世帯・若者夫婦世帯の新築購入費用やリフォーム費用の補助を受けられる制度です。

◯ 給湯省エネ事業

ハイブリッド給湯やエコキュートなど省エネ性能の高い高効率給湯機の設置費用の補助を受けられる制度です。リフォームも対象。

こちらが築35年のご自宅をリフォームさせていただいた写真です。詳細事例はこちら

築35年リビングのリフォーム
リビングのリフォーム
無垢材をつかったリビングリフォーム
無垢材のキッチンリフォーム

リノベーションに必要な許認可と手続き

リフォーム・リノベーションも工事内容によっては「建築確認申請」が義務化されています。

確認申請の申請者は「建築主」の方ですが、実際の書類作成や手続きはリフォームを依頼した先の「建築士」に代理で行ってもらうのが一般的です。

工事の依頼先を探す際には「建築士が在籍する工務店」や「建築士事務所」を選択肢としておくとスムーズでしょう。

4.成功事例と失敗しないためのポイント

古民家リフォームの成功のカギは、「信頼できる業者選び」にあります。

リフォームを手掛ける業者は、大きく分けて、「リフォーム専門業者」「工務店」「ハウスメーカー」などがあります。

失敗しないためのポイント1:伝統的な建築技術に詳しい専門家・職人が在籍しているか

古民家や旧家の改築、修繕には、伝統的な建築技術や知識が必要です。古い物件は、図面がないことが多く、木材の選定や組み方、接合技術などを熟知していなければ修復はできません。

最近の住宅建築では、効率性と精度を重視するためにプレカット工法が広く採用されています。そのため、プレカット工法しか経験のない大工も増えています。

失敗しないためのポイント2:現場での適応力がある大工さんがいるほうがベター

古民家リフォームは、その独特の構造や経年劣化の状態により、解体してみないと分からないことが多々あります。この不確定要素を理解し、対処できる経験のある大工さんがいるかいないかのより、成功失敗が分かれます。

失敗しないためのポイント3:柔軟な計画変更に対応できる体制があるか

解体後に発見された問題に対して、リフォーム計画を柔軟に見直すには、設計士と大工との緊密で迅速な連携が必要です。

失敗しないためのポイント4:木材の基本知識

古民家リフォームにおいて、古い木材と新しい木材を調和させるためには、木材の特性を理解し、適切な選定や加工、処理を行うことが重要です。また、構造の補強や美観の調和にも注意を払わなければ、快適な生活空間を実現することができません。

こちらがリノベーションでよみがえった茅葺屋根と囲炉裏のある古民家の写真です。詳細事例はこちら

茅葺屋根に白い塗り壁が映える古民家
リフォームでドーマー付きの茅葺がユニークな古民家に
囲炉裏を囲める癒しの和室
屋根裏に続くロフト階段

成功するリノベーションのためのアドバイス

古民家の魅力を最大限に引き出すには、「伝統的な技術」と「現代の技術」を融合させることが必要です。

  • 古民家の、長い年月を重ねた味わいや趣を生かす
  • 耐震補強や断熱改修、最新設備の採用で、安全性・快適性も高める

信頼できる建築家や大工さんと連携し、丁寧なリフォームを進めることで、新築以上に価値のある「ここちええ住まい」になるのです。

5.まとめ

古い日本家屋の柱や梁の建材には樹齢100年を超すような丈夫な木が使われているケースがほとんどです。

後藤工務店は、今年(2024年)で創業100年を迎えますが、先々代も「太い柱」が好きでした。地元播磨地方で地域密着、代々でやっていますので、先代、先々代が建てた家の修復や改築に伺うことも多くあります。

古い建物からは家人の息吹や大工職人の知恵の一端が垣間見られ、この価値を後世に伝え、未来へと繋げていきたいと、いつも思っています。

開放感のある広々とした間取り、天然素材で体に優しい建材。

後藤工務店では、現在ではなかなか手に入らない希少価値の高い木材を使用している柱や梁を生かしたリノベーション、デザインをご提案しています。

新築物件が高騰する中、古民家を購入して改装や改築をして暮らす人が増えています。

この記事をご参考にデメリット対策をして、「ここちええ古民家ぐらし」を実現してみてください。

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