リフォームで無垢材フローリングに!メリット・デメリット、費用やメンテナンスも公開

無垢材フローリングでリフォームしたリビング

フローリング素材として、無垢材の人気が高まっています。無垢材には、温もりを感じる素材感や見た目の美しさだけではなく、実用面でも優れた特性が備わっているのです。
今回は、無垢材フローリングのメリット・デメリットやおすすめする理由、費用・メンテナンスなどを、100年間木の家を建て続けてきた後藤工務店が公開します。

無垢材フローリングのメリットとおすすめする理由

無垢材フローリングは天然の一枚板

フローリングで一般的に使われる合板は、薄く削った板を接着剤で貼り合わせて作られたものです。

一方、無垢材フローリングでは、天然の木から切り出した一枚板を使っています。そのため、天然の木が持つ個性が生かされており、肌触りや温もりをダイレクトに感じられるものです。

無垢材フローリングは抜群の快適さ

無垢材は、天然の木の良さを味わえる素材です。

夏場にフローリングを裸足で歩くと、べたつきを感じることがありませんか?また冬場のキッチンでは、フローリングの床で足が冷えて辛いという声も聞かれます。

無垢材のフローリングに変えたお客様が驚かれるのは、夏場のべたつきや冬場の冷えがなく、快適に過ごせること。

これは、無垢材が持っている特性によるものです。無垢材には調湿作用があるため、夏場に裸足でフローリングを歩いてもベタベタすることはありません。

また針葉樹の無垢の木は熱伝導率が低いという特性を持っています。そのため、床に熱が伝わりにくく足が冷えにくいのです。

無垢材フローリングは転んでもあまり痛くない

無垢材に温かみとやわらかさが感じられる理由は、ハニカム構造になっている木の繊維層の中に空気を多く含んでいるからです。

無垢材に衝撃が加わると組織がたわんで元に戻るため、万一転んでも衝撃が軽減されます。

また、無塗装の無垢材はすべりにくいという特徴があり、小さなお子様やお年寄り、ペットなども安心して過ごすことができます。

無垢材フローリングには消臭・抗菌作用がある

天然の無垢材からは、いい香りがします。これは木に含まれている精油成分の香りです。木の精油成分の香りにはリラックス効果があり、家にいながら森林浴をしているような気分を味わえます。

また、この精油成分には消臭効果もあり、お部屋はいつも快適な状態に保たれます。加えて防虫・抗菌作用も期待でき、ダニやカビが気になる方やアレルギー体質の方にもおすすめです。

無垢材フローリングは丈夫で長持ち

無垢材に対して、デリケートな素材というイメージを持たれる方がおられます。

しかし無垢の木材を使った法隆寺や正倉院が、千年以上経った今も現存することからもわかるように、無垢材が丈夫で長持ちする素材なのです。

一般的に無垢材フローリングの耐用年数は30年以上で、合板フローリングのように10年程度で表面が剥がれたり、ひび割れたりすることもありません。

無垢材にデメリットはある?

無垢材フローリングのお手入れ、実は簡単

「無垢材はお手入れが大変」というイメージを持たれがちですが、実は違います。無垢材はとても柔軟性の高い素材で、ちょっとした傷や凹みなら時間とともに目立たなくなるのです。

素材そのものに天然の油分がふくまれているため汚れが付きにくく、普段のお手入れは乾いた雑巾で乾拭きする程度でOKです。

また、無垢材は経年とともに色つやが増すという特徴があるため、長く付き合うほどに良さが実感できます。

無垢材フローリングはコスパがいい

無垢材のデメリットとして、価格の高さがあげられることがあります。

たしかに初期費用だけを見ると、合板のほうが安いのは事実です。しかし、無垢材の耐久性は合板の2~3倍以上あります。

住宅は一生モノの買い物です。長いスパンで見ると、無垢材は決して高い買い物ではなく、むしろコスパのよい選択といえるでしょう。

無垢材フローリングは反りが起こりやすい?

フローリング用の無垢材は、一本の丸太から板を直接必要な寸法に切り出したそのままを、無加工で使用するものです。そのため、伸縮や膨張によって反りやすき間がみられるケースもあります。

「湿度が高い時には湿気を吸い、乾燥している時には湿気を吐き出す」という木の調湿作用によって、木の形状も「湿気を吸う時には膨らみ、湿気を吐き出す際には縮む」というように変化しています。
そのため、同じ木であっても湿度の高い夏と乾燥した冬では形状が少し異なります。

長く使っていただくうちに反りやすき間、床なりを感じられることがあるかと思いますが、木の変化を楽しみ、木の生命力を感じていただける、それも無垢材の魅力のひとつだと考えています。

無垢材フローリングの種類と特徴

針葉樹

杉無垢材の無塗装フローリング

杉の木部は柔らかくて加工しやすく、乾燥すると軽くなります。

内部に空気を多く含むため、じかに触れるとほのかな温かみを感じます。このぬくもりが杉の大きな魅力のひとつで、家の内装材として多く用いられる理由です。

また、杉といえば爽やかな香りも特徴のひとつ。樹木が自らを守るために発散する精油成分・フィトンチッドによるもので、抗菌・防虫作用などが有名です。

なかでも杉が持つ「セドロール」という成分は、高いリラックス効果を持つことがわかっていて、睡眠の質を高めることが期待されています。

保湿性という点でも冬は暖かく、夏は涼しい環境を造ることができる点も人気の1つといえます。

調湿効果があるということで、腐敗やカビにも強く、家屋などを建設する際には、効果的とも言えるでしょう。

ヒノキ

ヒノキは古くから、法隆寺や伊勢神宮等の宮殿の建造物に使用される神聖な木材として使用されてきました。他の木と比べると白く上品な風合いです。

ヒノキは浴槽などに使われるほど水分に強く、耐朽性(腐りにくさ)があります。触り心地がよく、木目もきれいで高級感にあふれ、光沢もよいため、長年使用することによってより艶や味も出てきます。

また、桧に含まれるαピネンという香り成分を吸収することで副交感神経が刺激され、リラックス効果があることが実証されています。その効果は森林浴に近いと言われます。

桧に含まれる成分のαカジノールには抗菌効果があります。具体的にはαカジノールは木材を腐らせる腐朽菌の増殖を抑え、ダニやシロアリを防ぐ効果があります。

赤松(地松)

地松とは、国産のマツのことを言います。地松は古くから重さを柱にきかせ構造材全体を安定させる役割を担ってきました。

強度に優れ、耐久性や香りの良さからも文化財となるような建築物の用材として、多く用いられています。

国産材としての地松は、その木肌の色味や曲がり、塩害に強い、保湿性があるなどの材質から、昔から生活に身近な木として存在してきました。

硬くて丈夫で艶が良いので、階段材・地板・床材など強さを求めるなら、真っ先に浮かぶのがマツでしょう。

パイン

パイン材といえば、一般的には北米や欧州産のマツ科の樹木が使用されます。パイン材に共通する特徴として「色が明るい」「節が多い独特の木目」という点が挙げられます。

迫力あるナチュラルな木目が特徴的で「節(ふし)」が多い独特の見た目をしています。節は木によって見た目が異なるので、それぞれ個性的なデザインを楽しめます。

油分が多く含まれているため、経年変化でツヤが生まれ飴色になります。パインは柔らかく衝撃吸収力が大きいので、パイン材は足腰に優しい木材なのです。

パイン材は熱伝導率が低いため、冬でもヒヤリとした冷たさを感じにくくなっています。さらに、外からの熱も伝わりにくいので、夏は涼しく過ごせます

広葉樹

オーク

オークはブナ科コナラ属の落葉広葉樹で、日本では「ナラ」や「ミズナラ」と呼ばれ、どんぐりがなる木としてお馴染みです。

オークは高い耐久性・耐水性を兼ね備えており、ウイスキーやワインの樽、船舶の材料等にも用いられてきました。

オーク材はとても堅く重いため、傷がつきにくいのが特徴。また耐水性にも優れているため飲み物を零しても、シミになりにくくなっています。

一般的にオークは木目がはっきり出るといわれています。オーク材にはポリフェノールの一種である「タンニン」が含まれているため、防虫効果があります。

オーク材はあまり空気を含んでいないため、熱伝導率が大きく、熱が伝わりやすいので、冬場に触れると冷たく感じやすくなります。ただし温まりやすいため、部屋が暖かくなれば冷たく感じにくくなります。

栗材は堅く、強度が高いのが特徴。そのため、傷つきづらいです。

また水にも強く、腐食しづらいのも利点の一つ。さらに防虫効果もあるので、長く使い続けられるフローリングとなるでしょう。

栗は独特のはっきりとした木目を持っており、荒々しく無垢材ならではの雄々しさを感じられます。

栗の床材は時間がたつにつれて、色がどんどん濃くなり、落ち着いた色に変化します。この変色も無垢材フローリングならではの魅力。

和風・洋風どちらの部屋にも似合います。高級感のある部屋にどんどん変わっていく様子をぜひ楽しんでください。

プロが公開!無垢材フローリングのメンテナンス法

基本は掃除機掛けと乾拭きだけ

難しいと言われることが多い無垢材フローリングのメンテナンスですが、実はとても簡単です。普段は、塵やホコリを掃除機・ほうきなどで取り除くだけでOK。拭き掃除は雑巾で乾拭きしまが、この「乾拭き」がポイント

浸透型塗料で仕上げた無垢床や無塗装の無垢材は、浸水性が高いのが特徴です。そのため、濡れた雑巾やウェットワイパーなどで水拭きしてしまうと、無垢床が吸水して、毛羽立ちや変色の原因になる危険性があります。

特に飲み物などをこぼしてしまったときには、すばやく乾いた布で拭き取ってください。

なお、1〜3ヶ月に1回程度は、固く絞った雑巾で汚れを拭き取るのも効果的。この際も無垢床に水が染み込まないよう、雑巾は「固く絞る」ことが重要です。

引っ掻きキズは自分で補修できる

家具をフローリングに直に置いていたり、ペットを室内で飼っていたりすると、どうしてもついてしまう細かな引っ掻きキズ。

最もつきやすいキズとも言えますが、自分で直せるので是非とも補修方法を覚えておきたいですね。ただし、キズが深い場合やウレタン塗装が施されている場合は、専門業者に依頼しましょう。

〈用意する物〉

  • サンドペーパー(180番、240番)
  • 手のひらサイズの角材(硬めのスポンジでもOK)
  • ワックスや塗料

〈補修方法〉

  1. 用意した角材に180番(少し粗い目)のサンドペーパーを巻きつける。
  2. キズに対して平行にサンドペーパーをかける。(キズを収めるように範囲を決め、木目に沿って削ると自然な仕上がりになります。)
  3. キズが見えなくなるまで削ったら240番(細かい目)のサンドペーパーに替えて、②と同じように削る。(削り後が気になるようであれば、更に目の細かい320番のサンドペーパーを使うと美しく仕上がります。)
  4. 最後に、周りのフローリング箇所に使用しているワックスや塗料と同じ物を塗布して仕上げる。

へこみキズは木を膨らませて補修

固い物を落とした時や、タンスのような重い家具があった箇所についてしまうへこみキズ。補修方法としては一番お手軽なので、お困りの方は一度試してみてはいかがでしょうか。

〈用意する物〉

  • タオル
  • アイロン

 〈補修方法〉

  1. キズが収まるように少量の水をたらして、30分程水分を染み込ませる。(新しいキズなら、これだけで直る場合もあります。)
  2. 湿らせたタオルをキズの上に置き、少しずつ様子を見ながらアイロンで温める。

上記の方法でも直らない場合は、サンドペーパーで塗装を削り水分を染み込ませてから温めるとより効果的です。その場合は忘れずにワックスや塗料を塗布して仕上げましょう。

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ひび割れキズには木工用パテが有効

無垢フローリングは天然の木材を使用しているため、乾燥などによるひび割れキズが発生してしまう事があります。ひび割れキズの補修方法は色々ありますが、今回は木工用パテを使った方法をご紹介します。

〈用意する物〉

  • 木工用パテ
  • サンドペーパー(150番)
  • 手のひらサイズの角材
  • ワックスや塗料

〈補修方法〉

  1. 補修部分の汚れを除去する。(ささくれが酷い場合は、予めヤスリなどで取り除いておきます。)
  2. 補修部分に木工用パテを押し込むよう注入する。(パテは乾燥すると目減りするので、盛り上がるくらい多めに盛ります。)
  3. 1日程かけ完全に硬化させる。(目減りして周りよりも凹んでしまった場合は、再度パテを盛り硬化させて下さい。)
  4. 角材にサンドペーパーを巻き、周りと平行になるように削る。この時、周りのフローリングも一緒に削ると馴染みやすい。
  5. 補修箇所が平滑になったら、周りと同じワックスや塗料を塗布して仕上げる。

木工用パテを使った補修以外にも、木くずでキズを埋めて瞬間接着剤で固める方法や、専用キットを使用する補修方法などもあります。ご自身で出来そうな方法で試してみてください。

無垢材フローリングは快適でメンテナンスも簡単

無垢材フローリングのメリット・デメリットのほか、気になる費用やメンテナンス方法を紹介しました。

天然木のいいところを存分に味わえるうえ、お手入れも簡単な無垢材。フローリングをリフォームするなら、無垢材をぜひ選択肢に加えてみられてはいかがでしょう。

床リフォーム事例

▼古民家をフルリノベーションしました。床は、無垢の地松を使っています。

▼昔の間取りで多い日当たりの悪いDKと和室をリノベーション。床は、杉の無垢材を自然塗料で色付けし可愛い感じの仕上に。